病気の説明
タバコ誤飲
みなさんのお子さんでタバコを食べてしまったことのあるお子さんはいますか?
救急外来を行っていると結構多いんです
誤飲の中では一番多いのがタバコなんです
その多くが生後8~12ヶ月の乳児です
これはちょうどハイハイ、つかまり立ちをする時期ですね
日本は畳の文化があるため、この時期のタバコ誤飲が多いのは日本の特徴と言われていました
私が医師になったころはほとんどの子が胃洗浄(鼻や口から胃まで管を入れて、生理食塩水を何回も出し入れして洗うことです)を行っていました
こどもにとってはかなりの苦痛を伴う処置です
その時に両親が一緒に処置室に入り、その様子を見てもらうこともありました
その様子をみてもらうと、二度とタバコが幼児の手の届く所に置かなくなると教えられていたのです
実際に、ほとんどの御両親はその処置をみて涙を流していました
しかし、ここ数年でタバコを飲んでしまった子の処置も変わってきました
よく本等でタバコをどれくらい飲むと致死量になると書いてあります
小児の致死量はニコチン15~20mgとなっており、タバコ1本分以上です
ところが、世界中でタバコを飲んで死んだ子供の報告例がないんです
子供がタバコを1本以上飲めるでしょうか?
飲めないんです
万が一飲んでしまっても、ほとんどは少量のみであり、病院へ到着して胃洗浄を行う頃には30分以上経過していることが多いんです
中毒学会ではタバコ誤飲に対する胃洗浄は意味がなく、子供にとって害しか無いと説明しています
胃洗浄と同様にお茶や牛乳を飲ませて吐かせるのも誤嚥性肺炎(気管の中に間違って嘔吐物が入ってしまい、肺炎を起こす)などの合併症が多くなるため不要なんです
もし量が多い時には嘔吐、めまい、腹痛、顔面蒼白、けいれんなどを起こすことがあるため病院で経過をみる必要がありますから、量がわからないときは救急外来を受診した方が良いでしょう
特に、タバコを浸した水を飲んだ場合はニコチンが濃くなっており、吸収も早いため要注意です
万が一少量でも飲んでしまった時は一度は病院を受診しておいてください(ただし、胃洗浄は不要ですが)
タバコを飲んでも胃洗浄を行わないということが医師の中では常識になってきていますが、まだ胃洗浄を行う施設もあるようです
一番大事なことは決して子供の手の届くところに置かないということです・・・(もっと大事なのはタバコをすわないことでしょうが・・・)
みなさん、気をつけてくださいね
タバコの誤飲は両親だけでなく、祖父母、友達の両親のタバコでも起こりますから