病気の説明
中耳炎・耳垢掃除
《耳》の病気、特に中耳炎にかかったことがある患者さんはけっこうたくさんいると思います
うちの子はかかったことがありませんって言うお母さん、お父さん、実際にはかかっていることがたくさんあるんですよ
風邪をひいて咳、鼻水が出たときに耳の中を見てもらっていますか?
3歳未満の小児の30%が急性中耳炎にかかったことがあると言われています(軽いものを合わせると半分以上のお子さんがかかったことがあるのではないでしょうか)
特に、瓶哺乳やおしゃぶりをしている児では急性中耳炎にかかる可能性も高くなります(それが悪いわけではないですよ)
鼻の奥と耳の中はつながっています
鼻と耳をつなぐ道の構造から、小さい子供は中耳炎にかかりやすく、治りにくいのです
鼻水が続いている、耳を痛がる(乳児は耳を気にしたり、頭を振る)、発熱、耳漏などが認められれば中耳炎の可能性があります
一概に中耳炎と言っても種類があり、発熱、痛みなどを伴うことが多い急性中耳炎や、耳の内側に水が貯まっていて、炎症は起こしていない滲出性中耳炎などがあります
それぞれ治療法も異なり、また、年齢、保育所の有無によっても治療法が異なります
急性中耳炎に関しては抗生剤を使用することも多いのですが、世界的な流れとしては抗生剤を使用しないで様子をみることも多くなってきています(海外で小児に抗生剤を使用する病気は,多くが急性中耳炎であり、一般的な風邪で使うことはほとんどありません。風邪に抗生剤を使うと他の医師から白い目で見られることもあるんですよ)
また、滲出性中耳炎の多くは抗生剤は必要としないのですが、一部の滲出性中耳炎では使うこともあります
急性中耳炎、滲出性中耳炎の治療に関しては、耳鼻咽喉科学会や、小児科外来学会よりガイドラインが作られましたが、まだそれぞれの病院、医師によって考え方が異なっています
それでは、風邪をひいて鼻水が出たときに耳鼻科を受診するのと、小児科を受診するのとどちらが良いのでしょうか?
本当は子供の病気の窓口である小児科で診て、鼓膜切開などの治療を耳鼻咽喉科に依頼するのが良いのでは?と私は思っています(反論もあるとは思いますが)
多くの国では子供の中耳炎は小児科医が診断しているんです
ただ、中耳炎を診断するためには《耳垢》があると難しいんです
耳垢を家庭で全部取ろうと思うと、非常に大変です!
特に奥の耳垢を取ろうとすると、子供も動いてしまい鼓膜を傷つけることがあります
したがって、一番子供が受診することの多い小児科で耳垢を掃除し、中耳炎の診断をする! これが理想ですね
大きい耳垢を取るのって、けっこう楽しいんです(怒られるかな)
お父さん、お母さん、家では耳の入り口を綿棒で取るだけでいいんですよ
後は、私に取らせてください!
でも、耳垢を取る時は、しっかりと押さえなくてはいけないため、病院を嫌になってしまう子供もいます
泣いて泣いて病院を嫌いになってしまった患者さん、ごめんね
汗だくになって押さえてくれるお母さん、お父さん、ありがとうございます
これからも中耳炎の早期発見の為に耳垢を取って行きます