小児科クリニック、小児科医療に対する考え
(長文です、時間のある方は是非、一度読んでみてください)
みなさん、こんにちは
私は「おひげせんせいのこどもクリニック」院長の米川と申します。
それでは、クリニックの説明をQ&Aでしてみますね。
Q:「おひげせんせいのこどもクリニック」って変わった名前ですね、何故ですか?
確かに、クリニックの名前としては変わっています。
名前の由来は、「ひげ」を生やしているからなのですが・・・
大学を卒業後は「ひげ」を生やしており、患者さんたちから「おひげのせんせい」と呼ばれておりました。 みんなが親しみやすい名前をそのままと思い、「おひげせんせい」をクリニックの名前にしました。 名前が長いので、「おひげこども」と略しても良いかも・・・。
Q:クリニックの作りも、診察室が9個もあるのはどうしてですか?
一言で言えば、感染を防ぐためです。 でも、それ以外にもたくさんの理由があるのです。 この先はちょっと長文ですが、読んでみてください。
このクリニックは、私の小児科医療に対する理想をそのまま実現したものとなっております。
子どもを持つ一人の父親として、そして、医療を提供する小児科医師として、こんなクリニックがあればいいのにという思いが詰まったクリニックです。
診察室が9個ありますが、それにはたくさんの理由があります。
東京のクリニックで働いていた時には、たくさんの患者さんに来ていただいておりました。その時に、待ち時間が長くなるとどうしても待ち合い室で他の病気をもらうことが多くなってしまいます。
せっかく一つの病気が良くなったところで別の病気をもらってしまい、大変な日々が続いてしまうのです。
また、他の病気をもらうことを恐れて受診をためらい、その結果病気の治療が遅くなってしまう事も多々ありました。
そういった状況を改善するには、一つは予約システムを導入する事です。
携帯電話やインターネットを利用して予約することで、患者さんが同じ時間帯に集中する事を防ぐ事ができます。
また、患者さんも時間になれば携帯電話などに自動で連絡が入るため、時間になるまで具合が悪いお子さんを家で休ませてあげることができます。
次に、クリニックに来てからは、9個の診察室にすぐに入る形になります。
それぞれの診察室にテレビ(子ども向けの番組)、絵本、おもちゃなどが準備しており、換気も個別になっております。 そこで診察の順番が来るまで待っていただく事で他の患者さんとの接触を防ぎ、感染を防ぐ事ができます。
また、診察室で待っていていただき、それぞれの部屋に私がまわって行く事で更に良い点があります。
例えば1日に150人診察するとしましょう。
「お話を聞いて、診察して、病気の説明をする」
それ以外の部分、例えば
「マイクなどで呼んでから診察室に入るまでの時間」
「診察室で洋服を脱ぐ時間:冬等は更に時間がかかりますね」
「診察後に洋服を着る時間」
等の時間が多くかかってしまいます。診察以外の時間に一人1分かかるとすると、合計で150分になります。150分をなくす事ができたら、その時間を待ち時間の短縮、そして、患者さんとのお話の時間にあてることができるのです。
患者さんのお話もたくさん聞く事ができるようになります。
私が電子カルテを持って診察室をまわることで、患者さんは予め診察の準備をしておいて、診察後もゆっくりと洋服を着て帰る準備ができます。
診察室をたくさん作って、そこで待っていただく、それにはたくさんのメリットがあるのです。
Q:クリニックは靴を脱いで上がる形でしょうか?
いいえ、クリニックの中は靴をはいたままの状態です。
靴をはいたままにすることで、子どもが床で遊ぶのは難しくなります。
しかし、クリニックは具合が悪い患者さんを優先に考える物と思っており、そうすると、ベビーカーで寝ているお子さんは、ベビーカーのままで診察室で待っていただけた方が良いと考えております。また、兄弟がベビーカーで寝ている場合も同じです。 具合が悪い子ども、寝ている子どもを抱きかかえて入って待っているのは大変です。
元気で、感染の危険性のないお子さんは、待合室のプレイスペースで靴を脱いで遊ぶ事もできます。
また、診察室のドアなどは全て双子のお子さんのベビーカーもそのまま通れる大きさに設計しております。 双子のお子さんも、ベビーカーでそのまま診察室でお待ちいただく事ができます。
お子さんと、保護者の方が安心して、疲れる事がなくクリニックを受診できるように、それを考えてクリニックを作りました。
Q:先生や看護士は白衣を着ていますか?
いいえ、私は以前のクリニックでも白衣は着ていませんでした。
お子さんが怖がらずに受診できるように、私も、看護士や受付のスタッフもみんな白衣を着ておりません。
一見、カフェのような制服ですが、その方がきっと怖がらずに受診できると思います。
令和2年春からコロナウイルス感染対策でガウンを着用する事も多く、スタッフ全員スクラブ(手術着と同じようなもの)を着用しております。
クリニックの説明がかなり長くなってしまいましたが、今度は私の医療に対する理念を書きます。(ここからはQ&Aではありません)
日本の小児科医療は、抗生剤の乱用、予防接種の遅れなど、世界の医療と比べるとまだまだ医療後進国となっている面がたくさんあります。
特に予防接種は、Hibワクチンや、肺炎球菌ワクチンなど、世界に遅れる事10−20年でやっと日本でも始まりました。
しかし、まだまだ自費での接種も多く、ご家庭の負担も大きいのが現状です。
そして、予防接種に対する誤った情報も多く、必要な予防接種を受けていない方多いのも日本の特徴です。
皆さんに正しい予防接種の知識を持っていただき、髄膜炎で無くなったり、おたふく難聴のいない世界を目指しましょう。
そして、抗生剤に関しても、私は使わないわけではありません。
ただし、風邪をひいて抗生剤が必要な風邪はほんの一部分です。
抗生剤を乱用する事で抗生剤の効きにくい耐性菌を増やす原因となります。
抗生剤の適正利用を心がけ、正しい医療をみなさんに提供できるように頑張っています。
「小児科は全ての子どもの病気の入り口であるべき」というのも私の医療理念の一つです。
例えば、子どもの中耳炎は多くの国では小児科医がまずは診察して治療を行います。
2歳までの子どもの多くは、鼻水がでると中耳炎になります。
したがって、子どもの風邪を診察した場合は、中耳炎も一緒に治療を行う必要があります。 以前のクリニックでも、ほとんどの患者さんの耳を診察し、その結果耳垢を取るために私のクリニックを受診されるかたもたくさんいました。
耳垢を取るだけでも、気軽に受診してください。
また、私の大きな夢の一つは 世界中の子供を救うことです。
私が本気で医師を目指そうと思ったのは中学生のときでした。 私が初めて知った肉親を失う悲しみ、その悲しみを世界中から少しでも減らしたい! そう思って医師を目指そうと思ったのです。
自分の子供が死んでしまう事は親にとって一番辛い事です。 しかし、世界では毎年1000万人の子供が5歳の誕生日を迎える前に死亡しています。5歳未満で死亡する子供の99%は最貧国の子供たちです。
子供が死んでしまう悲しみを少しでも減らす事ができればと思っており、今後は医師としての活動の幅を広げて行きたく思っております。
当クリニックの受付の横にある飲料自動販売機ですが、利益は全て「マクドナルドハウス:難病の子供や、その家族が一緒に滞在できる施設で、北海道ではコドモックル(北海道立こども総合医療、療育センター)にあり、遠方からの患者さんが滞在しています」への募金に当てられます。
みなさんがジュースを買う事で、1本当たり20円の募金になり、病気の子供とその家族の支えになります。
私は学会等でクリニックを休診にすることがありますが、医療の常識は日々変化しております。その中で、最善の医療を提供するために学会等で知識を得る事も必要となります。
ご迷惑をおかけしてしまうこともありますが、最善の医療を提供するためにご理解をよろしくお願い致します。
長々と書いてしまいましたが、病気のことだけでなく、育児の不安、相談でも気軽に受診してください。
医療法人おひげせんせいのこどもクリニック 理事長 米川 元晴