ヒブワクチン
髄膜炎という病気はほとんどがウイルス性(夏風邪やおたふくが原因)ですが、一部が細菌感染症が原因による細菌性髄膜炎となります。
一般的なウイルス性髄膜炎は自然経過で治癒し、後遺症もあまり残しませんが(ヘルペスウイルスなどの一部は除いて)、細菌性髄膜炎は治療をしなければ多くは亡くなってしまうか、重度の後遺症を残してしまいます。
予防接種が始まる前の日本では、毎年600人の5歳未満の子どもがHib菌( ヘモフィルスインフルエンザ菌b型《インフルエンザウイルスではありません》)による細菌性髄膜炎になっていました。
そのうち30名(5%)が死亡し、150名(25%)に脳障害の後遺症が残る非常に予後の悪い感染症です。 Hib菌による細菌性髄膜炎は劇症型で進行も早く、1、2日であっという間に進行してしまいます。
欧米では30年前からHib菌に対する予防接種を行い、Hib菌による細菌性髄膜炎は過去の病気になっています。 WHO(世界保健機構)では「国の定期接種に入れるべき最重要ワクチンの一つ」として勧告しています。
日本も欧米から遅れる事20年、平成20年12月19日からHibワクチン(アクトヒブ)が始まりました。
平成25年4月から日本でも定期接種として受けられるようになっており、この数年は国内でヒブの髄膜炎で亡くなった子どもの数は0人となっています!
私は、Hibによる細菌性髄膜炎で亡くなってしまった子供達をみてきています。
熱が出始めてから1、2日目に病院を受診しても早期診断がほとんど困難な病気であり、普通の風邪とあまり変わりはありません。
細菌性髄膜炎は発熱初期から抗生剤を内服しても予防できません
抗生剤を内服していると細菌性髄膜炎の発見が1-2日遅くなると言われています
多くの方は髄膜炎や肺炎は風邪がこじれてかかる病気というイメージがあるかもしれませんが、多くの髄膜炎や肺炎はこじれてなるわけではありません
痙攣、嘔吐、意識障害 項部硬直(首が固くなります)などの髄膜炎症状が認められて初めて診断がつくことも多いのです。 早いと熱が出始めて3、4日で亡くなってしまう場合もあります。
生後2ヶ月になったら1日も早くヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンを接種してください。